DiGiRECO Vol.115 DEC 2010に掲載
世界中が認める絶対的な信頼感。
FURMAN P-1800 AR
DAW等のパソコン周りはもちろん、多くの機材を使用するために必須の電源。身近であると同時に、与える電源によってはノイズやサウンドが変化することはご存じかと思う。そんな中、スタジオからライブステージまでシビアなクオリティーが求められるプロユースの電源環境を支えるのが、FURMANのパワー・コンディショナー・シリーズ。最新モデルP-1800 ARは多くの独自テクノロジーによって良質な電源環境を構築できる、電源の決定版だ。
FURMANならではの独自技術が満載
世界中のアーティスト/エンジニアがこぞってFURMANの電源を愛用する理由はたくさんあるが、やはり長年培ってきた技術による高い信頼性が一番の理由だろう。パワー・コンディショナーを使用する主な理由は必要な電源を確保すると同時に、機材にクリーンな電源を供給するということだが、P-1800 ARにはFURMANならではのテクノロジーによって、ノイズのないクリアな電源環境を送り出すことが可能だ。では、P-1800ARの特徴を見ていこう。
数ある中でも特徴的なのがSMPサージ・プロテクションとLiFTノイズフィルターの2つ。それぞれがどのようなものかと言うと、
SMPサージ・プロテクション
SMPサージ・プロテクションとは瞬間的なスパイク・ボルテージからシステムの故障を防ぐ独自の技術で、本来であれば本体システムが故障するようなスパイク・ボルテージが発生した場合もSMPによって安全に吸収することが可能。つまり、パーツ交換や機器の破損といったトラブルから解放されるのだ。
LiFTノイズフィルター
そして、音質に大きく影響を与えるLiFTノイズフィルターの効果も大きい。いわゆる家庭用電源には少なからずノイズが混入しており、それが機材のパフォーマンス低下に繋がることが多い。そういった理由でパワー・コンディショナーを導入するケースも多いと思うが、安価な製品ではこのフィルターによって音質を変化させてしまうこともあった。LiFTノイズフィルターは従来のACフィルターとは異なるアプローチで電源ノイズをカット。
この2つに加え、True RMS Voltage Regulationによって不規則になりがちな電圧を一定に保つことができる。数ある特徴の中でも、これらの要素により機材本来のクリアなサウンドを引き出すことができるのだ。
サウンドが生まれ変わる
その他にも、トラブルや誤接続によって過剰な高/低電圧時に自動でシステムをシャットダウンするEVSボルテージ・プロテクションなど、パワー・コンディショナーに求められる安定したクリーン電源の供給と電源トラブルを気にせず使える機能が高い次元で実現されている。
実際のサウンドをチェックするために、一般の家電量販店で売られている電源タップとP-1800 ARをそれぞれ壁コンセントに使って、出音やレコーディング時のサウンド変化を比較してみた。結果、違いは一目瞭然。シンセやモニター・スピーカー、DAWソフトからのプレイバックなど、あらゆるソースにおいて音のスピード感が増し、クリアに聴こえる。P-1800 ARの音を聴いた後に電源タップの音を聴くと全体的に歪みっぽく、軽くEQを掛けたくなるような衝動に駆られる。続いて、楽器メーカーの普及価格帯のパワー・コンディショナーと同様に試してみたが、シャープさが際立ち、一歩上のクオリティーに引き上げてくれた印象だった。P-1800 ARの導入は電源供給の便利さや安心感だけでなく、音質的にも非常に優れた効果を得ることができる。このサウンドを一度聴いてしまうと、もう電源タップには戻れないハズだ(笑)。
あらゆる環境にマッチ
2系統のアウトレット
続いて、機能面や使い勝手について見てみよう。まずアウトレットはリア8口、フロント1口の合計9口で、最大許容は15A。この辺りは必要十分を備えているといったところ。リアパネルを見ると分かる通り、最近のFURMAN製品と同様、リア8口の中の3口はアウトレット間の間隔が大きく取られており、ACアダプターの接続に最適だ。最近は音源やオーディオ・インターフェイスなどでもACアダプター駆動の製品が多くなっているので、こういったデザインはシンプルながら好感を持てる。さらに、リアのアウトレットはアナログ用のバンクA(3口)とデジタル用のバンクB(5口)に分かれているのも特徴。それぞれのバンクは別回路となっており、内部干渉によるノイズ発生を防いでいる。また、リアパネルにはオン/オフスイッチ付きのBNCタイプのライト・コネクターを搭載しているので、暗いステージやラック裏に回った時など、接続チェックに便利だ。
フロント正面にあるデジタル・メーターはスイッチ切り替えによって、電圧と電流を同時にチェックできるようになっている。ブルーのLED表示の明るさも段階で調整することが可能なので、視認性は抜群。そして、マスター電源スイッチはよくある縦型タイプではなく、バーを横にスライドさせる方式。スイッチ周辺はくぼみが付けられており、不意にスイッチを押してしまう心配もないだろう。
USB端子を搭載!?
また、ユニークなのがディスプレイ横に付けられたUSBのA端子。P-1800 ARではUSBタイプのライトや携帯プレイヤーなどの充電が可能なUSB Chargerという機能が利用可能だ。テストしたところ、iPodやiPhoneも問題なく充電することができた。これまでもフロント面にライトを搭載したモデルはあったが、ライト自体も好きなものに交換ができたり、iPodがアダプター不要で充電できるなど、USBの方が何かと融通が利く印象だ。
このP-1800 ARは高価なモデルなので、安易に購入できるものではないかもしれないが、その効果と圧倒的な信頼感は間違いなくユーザーを満足させるクオリティーだ。各機材にクリーンな電源を供給し、同時に誤動作やスパイクによる故障といった不慮の事故から完璧に守ってくれるP-1800 ARはレコーディングからステージまで、あらゆるシーンで絶大な威力を発揮してくれるだろう。一通り機材周りのチューンナップを終えて、さらに上のサウンドを目指すのであれば、是非とも視野に入れてみて欲しい。
DiGiRECO 115|DEC・2010